JETSETTER

30代商社マンの書評・ガジェットレビュー

書評『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』

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日本経済新聞の記者である大西康之氏の新作。
同氏著書の『稲森和夫最後の闘い JAL再生に賭けた経営者人生』や『ファーストペンギン 楽天三木谷浩史の挑戦』等を読んだ人も多いのではないだろうか?

ちまたに溢れる軽薄なビジネス書とは異なり、入念な取材に裏付けられたビジネスノンフィクションで読み応えあり、一気に読み終わった。

ウォールストリートジャーナルの記者が書くようなノンフィクション、例えば『Bad Blood』だったり、まだ邦訳されいないようだが『Billion Dollar Whale』のような確りとしたと読み応えのあるビジネスノンフィクションは日本では中々お目にかかれないが、本書はまさにそんな本である。

 

リクルート事件は1988年。なぜ今、リクルートなのか?江副浩正なのか?本書では、GAFAMに代表される企業や、最近の西海岸系のビジネス書も参照しながら、江副浩正が如何にリクルートを築き上げたが描かれている。

日本はいつから、これほどまでに新しい企業を生まない国になってしまったのか。答えは「リクルート事件」の後からである。

日本社会が江副を抹殺したから、GAFAMを生み出すことができていない、という主張にはあまりに飛躍があるが、企業や新規事業創出といったことを考えるに際して、参考になることは多い。

部下に「圧倒的な当事者意識」を持たせること、「全員経営者」。参考にしたい。

 

本文中で人事担当者のバイブルとして言及される「心理学的経営 個をあるがままに生かす」という本は是非読みたいと思う。